TALENT

AIが仕事を変える。次に変えるべきは「人材要件」

AIが仕事を変える。次に変えるべきは「人材要件」

AIが仕事を変える。次に変えるべきは「人材要件」

山本 桜子

AI Research Strategist

AI is changing work. Next to change: talent requirements

AI is changing work. Next to change: talent requirements

AI is changing work. Next to change: talent requirements

AIが変えるのは、仕事だけではない

AIによって、仕事の進め方は大きく変わり始めています。

前回の記事では、AIによって人が経験を積む機会が失われる「人材の空洞化」を取り上げました。

では、その先に企業が考えるべきことは何でしょうか。

AIがこれまで人の担ってきた仕事を引き受けるようになれば、人に求められる役割も変わっていきます。

コードを書く。情報を探す。資料をまとめる。
こうした「実行」の一部をAIが担う一方で、人には、AIに何を任せるのか、どこで人が介入するのか、最終的に何を判断するのかが求められるようになります。

つまり、これから必要になる人材は、これまでと同じではありません。

問題は「AI人材を何人採用するか」ではありません。AIによって仕事そのものが変わる中で、「どんな能力を持つ人が必要なのか」を定義し直すことです。

「コードを書く人」の価値が変わり始めている

変化が分かりやすいのが、ソフトウェア開発です。

GitHubが95人のプロ開発者を対象に行った実験では、GitHub Copilotを使った開発者は、使わなかった開発者より同じ課題を55%速く完了しました。所要時間は2時間40分から1時間程度まで短縮されています。

エンジニアそのものが不要になるわけではありません。ただ、AIによるコード生成が進むほど、「コードを書けること」だけでは、人材として差別化しにくくなっていきます。

代わりに重要になるのは、何を作るべきか、顧客や現場の課題をどう技術へ落とし込むか、どこまでAIに任せるか、AIが作ったものを採用してよいかを判断することです。

つまり、AIによって変わるのは求められるスキルだけではありません。人が担うべき役割そのものが変わり始めています。

AIによって、新しい「役割」が生まれている

その象徴の一つが、Forward Deployed Engineer、FDEです。

OpenAIは現在、東京でもFDEを募集しています。FDEは顧客の現場に入り、課題を理解し、技術的な範囲を定め、システムを設計・構築し、本番導入まで担います。成果も「何行コードを書いたか」ではなく、本番で使われたか、業務に測定可能なインパクトを与えたかで測られます。

重要なのは、FDEという職種名そのものではありません。

AIの発達によって、これまでの職種の境界をまたぐ新しい役割が生まれていることです。

FDEは、技術を理解するだけでなく、現場の課題を捉え、AIを実装し、事業成果までつなげる役割です。
こうした役割は、従来の「エンジニア」「コンサルタント」といった職種名だけでは十分に表現できません。

だからこそ、AI時代には、既存の職種名から人材を考えるのではなく、「どの成果を担う人材が必要なのか」から役割を設計する必要があります。

一方で、新しい役割が生まれるだけではありません。既存職種の中身も変わっています。

Morgan Stanley Wealth Managementでは、「AI @ Morgan Stanley Assistant」を導入し、2024年時点でFinancial Advisorチームの98%が利用しています。

情報検索や記録、整理をAIが担うことで、Financial Advisorには、顧客の状況を理解し、提案を考え、対話し、最終判断を下すことがより強く求められます。

つまりAIは、FDEのような新しい役割を生み出すと同時に、既存職種に求められる価値そのものも変えているのです。

次に不足するのは、「AIを判断できる人」

このように、同じ職種名でも、人に期待される価値の置き場所は変わり始めています。
そして、これから特に重要になるのが「判断」です。

Microsoft Researchなどの研究では、生成AIを使うことで、人間の役割が「自分で作ること」から、AIの出力を確認し、まとめ、監督することへ移っていると報告されています。

一方、HBSとBCGの実験では、AIが得意な仕事では生産性が大きく向上したものの、AIが苦手な複雑な課題では、AIを使った人の方が正答率が19%低くなったことが報告されています。

つまり、AI時代に求められるのは、単に「AIを使える人」ではありません。

何をAIに任せるのか。どこに人間を残すのか。どこまでリスクを許容するのか。そして、その使い方が本当に事業成果につながっているのか。

こうしたことまで判断できる人材が必要になります。



では、御社にはどのような人材が必要なのでしょうか。

その答えは、企業やプロジェクトによって異なります。だからこそ、職種名から考えるのではなく、事業から逆算して人材要件を設計する必要があります。

Outcome|何を実現するのか
AIによって、どの事業成果を実現したいのか。

Work|仕事をどう分けるのか
そのために、人とAIの仕事をどう分担するのか。

Capability|人にどんな能力を残すのか
判断・設計・対話・監督など、人間側に必要な能力は何か。

Role|その能力を誰が担うのか
どの役割、人材、チームにその能力を持たせるのか。

ここまで整理して初めて、自社に必要な人材要件が見えてきます。

結論|「必要な人」を定義する

AIによって、コードを書く仕事の価値が変わる。FDEのような新しい役割が生まれる。既存職種の中身も変わり、AIの出力を監督・判断する人材が重要になる。

だとすれば、企業側の人材要件だけが昔のままでよいはずはありません。

AI時代には、「AI人材」という一つの職種があるわけではありません。だからこそ、人を探す前に、「自社には、どんな人が必要なのか」を定義することが重要です。

一方で、この定義は簡単ではありません。
事業によって実現したい成果も、人とAIの役割分担も、必要な判断力や専門性も異なるからです。

御社は、これから必要になる「AI人材」を、本当に定義できているでしょうか。

そして次に問われるのが、「その人材を、どう育てるのか」です。次回は、AI時代の人材育成モデルの再設計について考えます。

AIxができること

AIxは、AIを前提に企業の仕事・人材・組織のあり方を再設計し、実行まで支援する会社です。

独自のREWIREフレームワークを用いて、AI導入を単なるツール導入で終わらせず、業務プロセスや組織、人材まで含めて「AI時代にどう変えるべきか」を整理します。

人材領域では、企業やプロジェクトに必要なAI人材を定義し、適切な人材のマッチングやチーム組成まで支援しています。

「AI人材が必要なのは分かっている。ただ、自社に本当に必要なのがどんな人材なのか整理できていない」

そんな段階からでも支援できます。

これから必要になるAI人材の定義や人材要件の設計に課題を感じている企業の方は、ぜひAIxにご相談ください。

参考情報

SYS // AIx-OS

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