「実験」を「全社の成果」に育てた企業

Coca-ColaがFortune AIQ 50で6位に入った理由

多くの企業のAI活用は、PoC(概念実証)の段階で止まります。動くものは作れる。けれど、それが事業の数字に結びつかない。この「実装の谷」を越えた事例として、Coca-Colaは示唆に富んでいます。

FortuneとServiceNowが2025年に初めて公表したFortune AIQ 50——AIで測定可能な成果を上げたFortune 500企業のランキング——で、Coca-Colaは6位にランクインしました(Fortune, 2025)。Alphabet、Visa、JPMorgan Chase、NVIDIA、Mastercardに次ぐ位置です。200を超えるブランドを200以上の国で展開する消費財企業が、AIを業務の中核に組み込んだ事例として注目されています。

成果には、具体的な数字がついている

報じられている成果は、抽象的な「効率化」ではありません。

AIによる需要予測を導入した小売店舗では、月次売上が5〜20%増加しました。社内のコンテンツ生成基盤「Project Fizzion」により、コンテンツ制作は最大10倍の速度に。さらに、キャンペーンを43市場・4地域に60日でローカライズ展開したと報告されています(ALM Corp / Fortune)。

注目したいのは、これらが単発のツール導入の成果ではない点です。Coca-Colaが行ったのは、ガバナンス構造、専用のAI生成基盤、現場での成果測定までを含む「全社的な仕組み化」でした。

「3年かけて育てた」という順序

Coca-ColaのCFOであるJohn Murphy氏は、自身もChatGPT、Claude、Geminiを業務に使っていると語り、こう述べています。「自分が使い方を学んでいなければ、どうして他の人にそれを期待できるのか」と(Fortune, 2025)。

ここに、谷を越える鍵があるのではないでしょうか。同社は実験を一足飛びに全社展開したのではなく、実験 → 仕組み化 → 測定 → 横展開という順序を踏んでいます。需要予測の事例では、「実際に機能すると分かってから、世界中のボトリングパートナーに展開し始めた」と担当者が語っています(Fortune, 2025)。

多くの企業がPoCで止まるのは、技術力の問題というより、この「育てる」プロセスの設計が欠けているからだと感じています。動くデモと、事業を動かす仕組みは、別物です。

エンタープライズが今対応すべき設計の問い

Coca-Colaの事例を、自社に引き寄せて整理すると3点になります。

  1. 成果を「測れる形」で定義しているか。Coca-Colaの成果が説得力を持つのは、売上5〜20%増という測定可能な指標に接続されているからです。AIの効果を語る前に、何をもって成果とするかを決めているか。

  2. 技術だけでなく、その周辺を揃えているか。AIという技術単体ではなく、データ基盤・生成基盤・組織体制・測定の仕組みが揃って初めて成果が出ます。技術だけを入れても谷は越えられません。

  3. 経営層自身が使っているか。CFOがAIを日常的に使うという事実は、全社展開の文化的な前提を作ります。トップが使わないツールは、現場にも根づきにくいのではないでしょうか。

問いはこう立ちます。「AIで何ができるか」ではなく、「実験を、どうやって全社の成果に育てるか」。

AIxができること

AIxでは、REWIREフレームワークをベースに、エンタープライズのAI変革を支援しております。

① AI人材のマッチング・チーム組成

実験段階のAIを、データ基盤・組織体制・測定指標とセットで「育てる」設計に精通した専門人材を、要件定義からアサインまで一貫してサポートしております。

② 経営層・AI推進担当者向けアドバイザリー

REWIREの6次元のうち、特にE(Economic=経済性)とI(Intelligence)の観点から、PoCが成果に育たない要因を診断し、優先順位と打ち手を整理。ご関心のある方はお気軽にお問い合わせください。

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