組織の壁を越えてAIをスケールさせた企業が次のフェーズに入っている

EY事例から読むResource設計

EYがAssurance全社にエージェントAIを展開

EYがグローバルのAssurance(保証)部門全体にマルチエージェントAIを展開した。パイロットプロジェクトの話ではない。同社の監査・保証業務の実際の進め方に、AIエージェントを組み込んだ本番展開だ。

EYはMicrosoftのFrontier Firm AI Initiativeの一員としても、責任あるスケールでの先進AI展開の先行事例として認定されている。

この展開が注目に値するのは、何を導入したかではなく、どう組織して展開したかだ。

なぜ「全社展開」は難しいのか

多くの企業のAI変革が部門レベルで止まる。ある部門が成功を収め、その隣の部門が同じツールを使ってみるが、うまくいかない。知識が移転しない。人材が動かない。データが部門の壁を越えない。

これはツールの問題ではなく、リソースの設計の問題だ。

REWIREフレームワークの第五次元「R=Resource」が問うのはここだ。組織の壁を取り払い、人的・知的資本を再配置する。AIをスケールさせるためには、部門を越えてリソースが流れる設計が必要だ。

EYの展開が示す3つの設計原則

EYの全社展開から読み取れる設計原則がある。

ひとつ目は、専門性の集中と分散を両立していることだ。中央のAI専門チームが技術基盤を整備しながら、各事業部門のリードが現場の実装をオーナーする構造だ。専門知識を部門内に閉じ込めず、横断的に機能させることが、全社展開の前提条件になる。

ふたつ目は、ガバナンスと展開速度を両立していることだ。EYがMicrosoftのFrontier Firm AI Initiativeで評価されたのは、「責任あるスケールでの展開」という点だ。ガバナンスを後回しにして速度を上げるのではなく、ガバナンスを設計に組み込んだ上で全社展開している。

みっつ目は、業務の性質に合わせてAIの役割を設計していることだ。Assurance業務は判断・証拠・リスク評価を伴う高度な専門業務だ。AIエージェントに任せる部分と、公認会計士の専門的判断が必要な部分の設計を明確にしている。REWIREの「R=Responsibility」次元との連動が、ここで機能している。

サイロ解体は副産物ではなく前提条件

AIxがREWIREフレームワークで強調するのは、「サイロ解体は変革の副産物ではなく、前提条件だ」という視点だ。

部門間でデータが流れない、人材が動かない、知識が共有されない状態のまま、AIを「全社に広げる」ことはできない。EYの事例が示すのは、組織横断的なリソースの再設計を先に行い、その上にAI展開を積み上げた姿だ。

JPMorganの2,000名のAI専任スタッフも同じ論理で理解できる。AI人材を部門内に分散させるのではなく、組織横断的に機能させる設計が、スケールの鍵になっている。

AIxができること

AIxでは、REWIREフレームワークをベースに、エンタープライズのAI変革を二つの形で支援しております。

① AI人材のマッチング・チーム組成 組織横断的なAI展開・変革管理・ガバナンス設計に精通した専門人材を、要件定義からアサインまで一貫してサポート。

② 経営層・AI推進担当者向けアドバイザリー REWIREの6次元のどこが止まっているかを診断し、優先順位と打ち手を経営視点で整理します。AI人材のご相談・アドバイザリーの依頼はお問い合わせから。

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